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1: 風吹けば名無し@\(^o^)/ 2016/09/16(金)22:13:24 ID:aYV

 夢と希望を抱いてスタートしたプロ1年目のシーズンが、まもなく終わろうとしている。イースタンリーグで7試合に出場し0勝0敗、防御率6.00。期待の左腕として秋田商業高校からドラフト3位で入団をしたルーキーの成田翔投手にとっては歯がゆい結果が残った。

「プロの高い壁に阻まれました。自分の思っていたことができなかった。技術的にも体力的にも足りなかったですね。すべてにおいて自分が甘かった」

 6月18日の東京ヤクルト戦(戸田)でイースタンリーグ公式戦初登板。じっくりと体を作り、満を持してのプロ初先発だった。勝ちこそつかなかったものの
5回を投げて被安打2、無失点。文句のつけようのない結果だったが、本人にとっては思い描いている投球とはいえなかった。高校時代に「無双」と言われてき
たスライダーで空振りがとれない。成田にとっての代名詞でもあった自慢の伝家の宝刀は、ことごとくバットに当てられた。ボール球は見逃された。イメージと
は違う感覚に、強い危機感を抱いた。結果的に今季、イースタンリーグで87人の打者と対峙し、三振は9個。スライダーで空振り三振を取れたのはたったの1
度だけ。これがプロのレベル。壁の高さだった。

「高校の時は誰もがスライダーに手を出してくれた。それが今シーズン、ここまで1度だけですからね。それが現実。いろいろとレベルアップをしないといけないということです」

 8月には夏バテも襲った。体重は一時、6キロほど落ちた。左ひじも炎症を起こし、ノースロー調整を余儀なくされた。その間に同じく高校を卒業してプロの

門を叩いた選手たちが次々と結果を出していった。マリーンズに同期入団をしたドラフト1位ルーキーの平沢大河内野手も8月17日の楽天戦でプロ初ヒットを
記録。その後も初長打、初打点と記録を重ねていった。ただ、野手ということでそれほど意識はしなかった。一番、気になっていたのはドラゴンズにドラフト1
位で入った小笠原慎之介投手だった。

「同じ左投手ですし、高3夏の甲子園で、向こうは全国制覇。高校ジャパンでも同じチームでプレーをした。ずっと気にしていた」

 9月4日のジャイアンツ戦(東京D)。小笠原が一軍でプロ初勝利を収めた。ニュースで知ると悔しさがこみ上げてきた。家族からは、初勝利後のなにかのイ
ンタビューで小笠原が「成田のほうが先に(一軍で)勝つと思っていた」とコメントをしていたと聞かされた。さらに悔しくなった。本人にはメールで「おめで
とう」と短い祝福のコメントを送った。ただ、「そっちの調子はどうなの?」という戻ってきたメールに対して、あやふやな返事をしてしまった。まだファーム
でも未勝利。自分の事を問われるのが嫌だった。

「彼とボクの一番の差はストレート。彼はストレートが通用していた。それがあって変化球が生きる。それと気持ちですかね。彼には気持ちの強さを感じる。プロのレベルや環境にも動じない強さですよね」

 ライバルのピッチングに、投球の基本であるストレートを磨くことの大事さを再認識した。ずっと感じていることでもあり、周囲からも言われていたことだっ
た。左ひじの炎症が完治した8月下旬のロッテ浦和球場。フリー打撃で実戦復帰した際に二軍調整中のベテラン打者2人がわざわざ打席に立ってくれた。マリー
ンズのレジェンドである福浦和也内野手とサブロー外野手相手の実戦形式のピッチング。いとも簡単に打ち返され、スタンドインする打球に一流打者の凄みを感
じ取った。なによりも、大先輩たちが自分のことを気にして、バットを振ってくれたことが身に染みた。2人から言われていた言葉があった。

「ストレートを磨けよ」――それを身を持って教えてもらった気がした。忘れられない出来事だ。

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